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東栄運輸株式会社の取組事例

未来を見据えたDX人材の育成による組織変革

東栄運輸株式会社

業種

  • 運輸業・郵便業

取り組みテーマ

  • 情報化戦略
  • IT活用

活用した支援

  • 経済産業省 AI Quest 参画
事業内容 旅客運送・貨物運送・土木工事

Before/取組み前の課題

・紙文化が根強く残る旧来型のワークスタイルで、事務業務の量が相対的に多い。
・担当外出時に社内の連携や意思決定が遅れることがある。
・社内デジタル人材が不在のため、デジタル化が進まない。

After/取組みによる効果

・事務業務における手入力作業の自動化で業務量が大幅削減された。
・ビジネスチャットの導入や対話の機会を増やす施策で双方向のコミュニケーションを促し社員間連携の機会が増えた。
・デジタル人材の育成を開始して、課題解決を実施中。

【課題】 Afterコロナを見据えたDX戦略策定とデジタル人材育成

東栄運輸株式会社は、旅客運送・貨物運送・土木工事を事業とし、埼玉県を中心に東京・神奈川・茨城で営業展開している。当社のDXを進めてきた副社長の添野氏にこれまでの取り組みを伺った。
添野氏 「弊社の3本柱である観光バス部門、貨物部門、工事部門はいずれにおいても新型コロナ感染症蔓延の影響を受けていました。また、法人化55年を迎えて時代が令和へと変遷する中で、自社の紙文化や事務業務の手入力作業といった旧来型ワークスタイルを変革する必要がありました」
こうした外部環境への対応として、当社が手始めに取り組んだのが、経済産業省が主催する課題解決型AI人材育成プログラム『AI Quest』への参画であった。
「デジタル化やAIといったDXについて知見を広げることから始めました。そこでは、自社の課題を整理することができ、社内変革をどのように取り組むべきか考える契機になりました。そして、DXの重要性を認識することができ、弊社理念である『すべては”安全”という土台の上に成り立っている。お客さまの満足だけを考える』をさらに追及するために、中長期的なスパンで、時代の変化に対応したDX戦略(ロードマップ)を策定しました」
このDX戦略には、日報業務を5年以内に電子化することやデータの一元管理、AIの利用などを盛り込んでいる。決して、デジタルを特別なものと捉えず、「課題を克服していく“面白さ”を全社員で体感しながら自走する組織」を目指している。
「スピード感をもってデジタル人材の育成を進めつつ、社員との対話を重視しながら段階的に社内デジタル化を進めていくつもりです」

 

【導入】 DX戦略と対話重視の合意形成を推進する「事業開発室」の創設

社内の『変革部隊』として2年前に事業開発室を創設したという。若手社員2名が中心となりデジタル分野を担い、課題解決に取り組んでいる。「これまでの取り組みとして、自社ホームページの改修作業やアクセス解析、伝票作成や会計ソフトでの定型入力部分を自動入力するプログラムの作成や、グループウェアの本社導入、自社サーバーの一部をクラウド化しました」
加えて、事業開発室はオンライン会社説明会の実施など採用・広報業務も担っている。また、最近『デジタルの日』制度を設けて、月4日程度をテクノロジーやデザインを学び、実践する日とし、担当者のスキル獲得を支援している。DX戦略の推進にあたって社員への気配りも欠かさない。
「『デジタルの日』を設けたことで社内の雰囲気も変化しつつあると実感しています。施策の導入にあたっては、対話を重視して各部署との合意形成を行い、本社から段階的にデジタル移行していく計画です。対話を重視する理由は、一方向のデジタルの導入では、社員の参加意識も得られず好ましくないと感じたためです」
また社内を変革するにあたって、事務業務の自動化を優先度の高い領域として捉え、事務業務の手入力に割く時間を減らして、自動化で新たに生み出したリソースを他部門への応援に充てることや、デジタル分野の更なるスキル獲得に充てていきたいと考えているとのこと。なお、計画に取り組むにあたって、DX戦略の目標との乖離が起きないよう進捗管理やDX戦略の修正を随時行っている。

 

【効果・展望】 DX戦略達成に向けて“先ずはやってみよう”の精神で

2023年1月現在DX戦略上の途中であるが、目標との乖離もなく業務改革が進んでいるとのこと。具体的には、自動化により事務業務が既に10%削減されており、クラウド化によるサーバー保守・物理的コストの削減、セキュリティ対策向上やBCP対策への貢献が見込まれている。また、ビジネスチャットの活用や対話を重視したコミュニケーションは、意思決定の迅速化や部門間連携にも寄与し、組織活性化に繋がった。
今後は、デジタル人材の長期育成、全社でのデジタル化推進、既存事務業務の量を2年以内に30%削減、ペーパーレス化の拡大を目指している。
最後に添野氏は語る。「弊社ではデジタルの活用はあくまで課題解決の手段として認識しています。“全てはお客さまのため”に課題解決に取り組んだことが、たまたま結果としてデジタル化に行きついたものと考えています。今後も、失敗を恐れずに『先ずはやってみよう』の精神で果敢に挑戦することを大切にしていきたいと考えています。」