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株式会社モリチュウの取組事例

IT導入がゴールじゃない。
本質を変えて“選ばれる会社”へ

株式会社モリチュウ

業種

  • 製造業

取り組みテーマ

  • デジタル化
  • クラウド活用
  • IT活用
事業内容

・業務用厨房部品・機器の製造(鋳造品、プレス板金)
・景観材・住宅用エクステリアの企画、製造、販売
・産業用機械鋳物の製造、販売

Before/取組み前の課題

・業務フローが整理されておらず、全体の流れが見えにくかった。
・ITツールが部署ごとに運用され、データを一元管理できていなかった。
・データの可視化・活用が進んでおらず、意思決定に時間がかかっていた。

After/取組みによる効果

・全社で業務フローの可視化を進めて、ボトルネックを洗い出し、業務改善・つなげた。
・リアルタイムでのデータ共有により、意思決定のスピードが向上。
・生成AIやRPAの活用を進めることで、さらなる業務効率化が期待される。

◆DX認定をきっかけに見えてきた、自社の課題と改善への道

埼玉県川口市に本社を構える株式会社モリチュウは、鋳物の町として知られる地域を拠点に事業を展開する。業務用厨房部品や産業用機械鋳物の製造をはじめとし、高精度な鋳造技術で多岐にわたる産業に貢献している。

同社の特徴のひとつは、従業員の平均年齢が31歳と若いこと。一般的に「鋳造」と聞くと、熟練の職人が汗を流す重労働をイメージしがちだが、同社は伝統的な技術を守りつつ新しい手法を取り入れるフットワークの軽さがある。DX化を意識する前から、すでにiPadやiPhoneを全員に配布したり、ChatworkやGoogle Workspaceなどのツールを積極的に導入してきている。

そんな同社だが、世間でDXが注目され始め、「取り組まなければ取り残されるのではないか」という危機感から、DX認定を取得することにした。些細なきっかけから始まったものの、実際に認定を取得するための準備を進める中で、自社に多くの潜在的な課題があることに気づき始める。比較的ITリテラシーが高い社員が多いにもかかわらず、データがバラバラに管理されており、全社的な情報共有が十分に機能していなかった。また、業務フローを見える化できておらず、どこにボトルネックがあるのかも明確ではなかった。

DX認定は単なる認定取得の枠を超え、自社の業務を見直す良い機会となり、課題を浮き彫りにして本格的なDX推進につながるきっかけとなっていった。

◆DX=ツール導入ではない、業務の本質を見直す取り組みが動き出した

認定を取得するにあたり、まずは幹部を中心にDX委員会を立ち上げた。委員会では、「新しいシステムやアプリを導入することが目的ではなく、お客様に対する価値をいかに向上させるかがゴール」とDXの方針を明確にした。また、DXの定義を「デジタル技術の有効活用により、業務のサービスと正確性を劇的に向上し、斬新な付加価値を提供することでお客様に選ばれ続ける」と定めた。

ここで重視したのは「アナログレベルでの地固め」である。業務フローを整理し、アナログの段階で確立したうえで、デジタル化を進めることが重要であると考えた。各部署が積み上げてきたプロセスを可視化するには手間がかかるが、これを曖昧にしたままDXに突き進むと混乱を招き、長期的な成果が得られないことは明らかだ。

具体的にはまず業務フローの全体像を整理し、各工程のボトルネックを洗い出す作業を実施した。全社的に業務を図や文字に落とし込み、見える化することで非効率な部分が見えてきて、現在はKPIを設定して具体的な数値目標を明確にする段階に来ている。

 
同社には、半期ごとに社員が経営方針をもとに自分たちのやるべきことを決め、ミーティングで発表する場がある。ボトムアップで定期的に報告する文化が根付いているため、幹部が方針を示した際にもスムーズに現場へ浸透し、経営層と従業員との柔軟なやり取りを重ねることができている。

業務フローの整理とともに、すでに部分導入していたツール(Google Workspace、GAS(Google Apps Script)、Chartwork、BIツール(Looker Studio)、SMILE Vなど)をどう連携し、データを活用していくかも検討を進めている。また、早朝勉強会では、従業員同士がツールの使い方を教え合う機会を設け、ツールを学ぶことで、現場レベルでのITリテラシー向上を促進している。DX委員会のトップダウンの指示だけでなく、現場からのフィードバックを積極的に取り入れ、従業員が主体的に提案・活用する流れが整いつつある。

◆現れ始めたDXの手応え、さらなる自動化を目指して

DXの取り組みはまだ道半ばだが、少しずつ社内に変化をもたらしている。

BIツールによって各業務の進捗が数値やグラフで表示されるようになったことで、達成感が視覚的に感じられるようになってきた。重要指標をリアルタイムで可視化することで、会議資料を作成する手間を減らし、最新データをその場で確認しながら議論することにより、意思決定のスピードを加速させることを目指している。
GASによる自動通知により、忙しいときでも情報を確実に受け取れる。作業の遅れの際も、数字に基づいて素早く対策を講じることで、全体の成果を底上げする好循環が生まれつつある。

さらなる業務効率化を目指し、新たな取り組みも進めている。取引先のデータを最初に登録した後、製造・出荷・請求までシームレスに連携させることが理想だが、依然として一部の業務では重複入力が発生している。顧客管理システムで取り込んだデータを基幹システムと自動連携させ、一元管理を徹底することで、重複入力をなくし業務の効率化を図ることを目指している。

生成AIやRPAの活用についても議論を進めている。どこまで自動化できるかは試行錯誤中だが、顧客満足度をいかに高めるかを念頭に今後も可能性を模索していく。

DX推進を進める中で、「すべてをデジタルに置き換えればよいわけではない」ということも実感している。例えば、KPIをあえて手書きのグラフで社内に貼り出すことで、社員がリアルな達成感を共有できる場面もある。対面や書面を通じたコミュニケーションから生まれるモチベーションやアイデアもあり、やみくもにデジタル化を進めるのではなく、アナログの良さも残しつつ、最適な形を考えていきたいと思っている。

 
DX認定をきっかけに始まった同社の挑戦は現在進行形だ。持ち前の柔軟性と風通しの良い企業文化を生かし、DXを推進することで、これからもお客様に選ばれ続ける企業へと成長していくだろう。

株式会社モリチュウ

所在地
〒334-0075 埼玉県川口市江戸袋2-5-27
URL
https://www.morichu.co.jp/
電話
048-283-1421
FAX
048-284-3100
メール
info@morichu.co.jp