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株式会社エクス・アドメディアの取組事例

少しずつ、だが着実に。
身の丈DX推進

株式会社エクス・アドメディア

業種

  • 複合サービス事業

取り組みテーマ

  • RPA活用
  • システム開発
  • IT活用

活用した支援

  • その他補助金活用
事業内容 展示会、イベント、TV、舞台、ショールーム、オフィス内装、空間デザインにおける企画・運営・設計及び木工製作・施工

Before/取組み前の課題

・均一かつ高精度な制作物の提供に向けて、職人による手作業での加工に限界があった。
・人手不足による安定供給、生産性の低下。
・受注書や決算書のシステム化が遅れ、業務非効率だった。

After/取組みによる効果

・3D技術を活用した商品の開発・提供により、新たな受注確保による売り上げ増加を実現。
・案件管理システムを構築したことで、案件ごとの売り上げ・経費が可視化され、社内の稼働状況の集計が可能に。
・経費精算などの事務処理において、RPAを導入、専従担当者1名の業務省略可を実現。

◆まずは社員のデジタル化への不安を取り除く

1986年に創立した株式会社エクス・アドメディアは、各種イベントの企画から運営、デザイン・設計・イベントに係る設備や装飾品制作を行なっている。これまでの実績によって培ってきた技術とノウハウにより、多彩なジャンルのイベントを企画から制作まで一貫して対応できることを強みとし、近年はベトナムを拠点として、海外進出したい日本企業のサポートも実施している。
長年イベント企画・制作を実施する中で、エクス・アドメディアでは時代の流れとともに、制作面と事務処理面において大きな課題が生じていた。

制作においては一品物がほとんどで、機械化が難しく、職人の技術と勘に頼らざるを得ないという状況があった。また、近年のデジタル化の流れが著しいこともあり、品質の高い制作物だけでなく、精密加工を必要とする制作物のニーズが増えていた。
事務処理に関しては、手書きの受注書や決算書のシステム化が遅れていたため、業務効率の問題に直面していた。さらにはバブルの頃から続く慢性的な人手不足の課題もあったため、DX化による業務効率化は早急に実現しなければならない事案だった。
しかし、古くからの職人も在籍する中、DXに舵を切るのは容易なことではなかった。「自分の仕事がなくなってしまうのでは」という不安の声や、手作業が多い中でデジタルに対する先入観も多くあった。

社員のIT・デジタル化に対する苦手意識を克服するために、まずは「ITリテラシー向上計画」を作成。情報リテラシーや、ネットワークの仕組み、パソコンの基本的な使い方など、30分程度の研修を年に36回実施し、社員に寄り添うかたちでのDX推進に取り組んでいった。

◆ 3つのDX取組で顧客への訴求と業務効率を実現

従業員全体のITリテラシー向上を進めながら、エクス・アドメディアでは、3つのDXに取り組んだ。

まずひとつは、3D技術の活用。2019年に3D加工ができるNCルーターを導入し、職人による手作業での加工に限界があった素材や、立体的な形状の制作が可能となり、均一かつ高精度な制作を実現した。生産性も大幅に向上し、品質の高い製品を安定して提供できるようになった。

「加工の精度がすごく上がりました。同じものを何百枚も切っていると、やっぱり人間だと少しずつ精度が落ちていくことがあった」と代表取締役 中村俊宏氏は振り返る。

こうした機械は高額であり、なかなか手が出しづらいという課題もあったが、「ものづくり・商業・サービス性向上促進補助金」を活用することで乗り越えた。

「導入により、機械化を前提としてのデザインが可能となり、デザイン性も上がった。厚いベニヤ板も曲げられるので、新しいデザインが生まれている」
中村俊宏氏は、クリエイティブ面での可能性にも期待を見出し、投資に見合った効果を肌で感じている。

2つ目のDX取組は、受注案件ごとの売上や経費を可視化できる、エクス・アドメディア独自の案件管理システムを構築したこと。もともとは手書きであった受注書や決算書を、Excel化までは社内で実現していたが、年間2000件ほどの案件を抱える中で、どの案件にどれだけの経費や人件費がかかっているか、確認する作業に大変時間がかかっていた。
しかし、案件管理システムを構築したことで、ボタン一つで知りたい情報にすぐに手が届くようになり、作業効率が大幅に上がった。さらに、その情報が集計できたことにより、案件にかかる経費や人員の配置、稼働時間などが立体的に可視化された。

「一つ一つの情報をすぐ確認できるのは、すごく良いことだが、立体的にしようと思うと集計してみないとわからない。立体的になった情報を参考に経営ができる」と中村俊宏氏は、その恩恵を感じている。

このシステムは、社員全員が見ることができるため、各部門の担当者のコスト意識も向上。個人の売上や動きが可視化され、その透明性が社員の人事評価へと直結した。また、個々の努力がリアルに反映されるため、社内でのモチベーションアップにもつながるという効果も生みだした。
システム構築にあたっては、DX化へのハードルを下げるため、専門業者と相談し、職人でも扱いやすくなるように、見た目が使いなれたExcelのイメージになるよう工夫した。

そして3つ目の取組が、RPA(業務自動化システム)の導入である。案件管理システムを構築できたものの、まだ交通費などの経費精算においては、月100枚以上の現金精算書を紙ベースで作成しており、その内容を案件管理システムに入力し、さらにその後、同じ内容をまた会計システムfreeeにも重複入力するといった非効率作業が存在していたのだ。
それを解決したのが、さいたま商工会議所のSAI-デジ「RPA」。freeeに入力した内容が案件管理システムへ自動転記され、業務効率化を可能にした。これにより、それまで月に50時間かかっていた作業が5時間に削減。90%の削減率を達成。人件費でいうと、担当者1名分の業務省力化を実現した。


NCルーターによる看板製作


案件管理システム

◆身の丈にあったDXが成功の鍵

エクス・アドメディアでは、なかなか取り組みにくかったデジタル化という課題に正面から向き合い、職人や従業員に寄り添った形で取り組んできた。そのときに大事にした考えがある。「身の丈にあったところから少しずつやる、ということ。大きく何かを変えるのではなく、できるところから始めたのがよかった」と管理部の中村千恵美氏は語る。さいたま市商工会議所のサポートも受けながらの「身の丈DX推進」が成功の鍵となった。

今後の展望としては、レーザーカッターや3Dプリンターを導入し、新たに造形部の立ち上げも視野に入れている。「3Dプリンターによって造形そのものを制作し、それを組み立てればいいというように、制作方法そのものを変えていきたい」と中村俊宏氏は期待する。
さらに、中村千恵美氏は、まだまだDXへの取組を止めてはいない。「まだまだちょっとずつ切り出しがいくらでもできそうなので。できるところを切り出してRPA化していきたい」

自分たちができる身の丈にあったDXから取り組んだエクス・アドメディア。DX化による「ものづくりの変革」はもうそこまで見えている。

 

 


NCルーターで抜いたブース

 

株式会社エクス・アドメディア

所在地
〒336-0034 埼玉県さいたま市南区内谷4-11-26
URL
https://www.ex-ad.co.jp/
電話
048-837-5460
FAX
048-838-3445
支援した
機関
さいたま商工会議所